この記事では、飲食業を辞めたいけど、人手不足でためらっている人に向けて、どうすればいいのかお伝えします。
結論から言うと、人手不足で辞めることは法律違反でもないので、飲食がいやで我慢できないなら、辞めた方がいいです。
この記事では、辞めても問題ない理由と辞めると決めた場合の対応方法についてお伝えします。
こちらの記事では、『飲食業で働く方向けの転職サイトの特集』をご紹介していますので、またお時間があればチェックしてみてください。
飲食を辞めたいけど、そのまま我慢してもきつくなるだけ
日本政策金融公庫が労働力不足について調査したところ、飲食業は求人に対する応募が少ないと95.1%の飲食業の企業が感じていて、しかも離職率も他の業界と比べてもトップ。
飲食業が人手不足になってしまう理由は、以下の5つ。
逆を言えば、この問題が解決しない限り、飲食業の人手不足は解消されません。
飲食店の正社員と働いていると、将来的にも負担が大きいままとなってしまいます。
理由その①:長時間労働
毎日のように、朝から閉店後までの勤務が続いているのに、それが普通と思っているのが飲食店です。
超ホワイトな飲食店であれば、例え社員であれ、交代制のシフトで基本8時間勤務というところもあるかもしれませんが、そんな会社は一握り。
調理場:仕入れ → ランチ仕込み → 営業 → ディナー仕込み → 営業 →片付け・注文
ホール:掃除 → 準備・ランチ営業 → 片付け・ランチ作業 → 準備・ディナー営業 →片付け・締め作業
ランチ営業もしている場合は、勤務時間が、12時間とか14時間というのは普通で、週末や繁忙期になれば、休憩時間も1時間取れないということも珍しくありません。
これは過労死ラインを超えているといっても過言ではありません。
このように、他の業界と比較してかなりの長時間労働を強いられる業界です。
理由その②:給料が低い
労働時間が長いのに、低すぎる給料しかもらえないのが飲食店社員の実態。
dodaが実施した「2021年の業種分類別の平均年収」によると、外食産業の年収は、男女ともに最下位。
他業種の平均年収と比べても、50〜100万円ほどの差があるので、仕事の大変さに見合った給与が支払われているとは言えないのが飲食業界です。
その理由として、他の業界と比べて利益率が低いというのがあります。
そのため、人件費をおさえようと、長時間勤務になってもそれに見合ったお給料が出ることが少なく、ボーナスがないケースが多いのが現状です。
最悪な場合は給料が安いだけでなく、健康保険・厚生年金および労災保険・雇用保険に加入させてもらえないこともあります。
理由その③:休みが少ない
人手不足なので、今いる人たちで店を回さないといけない。
こういった飲食店は多く、店を閉めるわけにもいかず、休み返上で働いたり、規定日数以上の出勤をするしかない状況というケースが起こっています。
また「急なシフト変更」「毎回電話で呼び出される」といったこともあります。
しかも、飲食店が最も繁盛する休日、連休、お盆休みやGWなどは、なかなか休むことができません。
週休1日だと、体を休めることで終わってしまい、趣味の時間や家族や友人との時間も十分に取ることができませんし、本当に体も心もボロボロになります。
理由その④:体力的にきつい
飲食業は、ホールもキッチンも立ちっぱなし、動きっぱなしの仕事ですが、以前に比べても、料理の質や盛り付け、スピードが要求される時代となっています。
そのため、1人でいくつもの作業をやらないといけなくなり、さらには人手がいないので一人の負担が重くなり、体力的にきつくなってしまいます。
しかもきついからといって休んでしまうと、注文や締め作業が終わらず終電にも間に合わないということになります。
上司からは、気合いが足りないなどの精神論をただ作業をやっていくしかないという状況になってしまいます。
理由その⑤:接客のストレス
酒類を提供する飲食店の場合は、「酔ったお客様から迷惑行為を受けた」「理不尽なことを言われて、強いストレスを受けた」という人もいます。
また、値段や安くても、お値段以上のサービスが提供されるべきだという考え方が広がっているのも、SNSや口コミで何とでも書かれてしまうのも事実。
そんな自分の感情を押し殺した環境の中で働き続けると、当然ストレスも溜まりやすくなり、人間嫌いになってしまうという人も出てきます。
人手不足で辞めても、法律的に問題はありません
法律では、「人手不足の会社を辞めても一切問題ない」ということが書かれています。
民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
引用:Wiki books
雇用期間を定めない労働者というのは、正社員やアルバイト等のことです。
労働者は「退職を申請して2週間経過すれば退職できる」書いているので、最低でも2週間前に退職したいと言えば、会社を辞めることができます。
会社も退職を引き留めることはできません
また、他の労働基準法基では、会社側は「退職を止める権利は一切存在しない」ということが書かれています。
労働基準法 第5条
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
出典:Wikibooks
仕事を辞めたいのに、会社が退職を認めないという方が問題で、もし退職を認めない場合「在職強要」と言って法律違反になってしまいます。
会社は1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金に処されることもあるんです。
もしあなたが退職を伝えた時に
- 辞めさせてくれない
- 退職の引き延ばしをされる
といった「在職強要」があった場合は、 会社の管轄の「労働基準監督署(労基)」へ相談することもできます。

ご自身の体、家族のことを第一に考えましょう
法律的にはあなたが人手不足の中辞めることが無責任ということは一切書かれていませんし、会社もあなたを強制的に引き留める権利はありません。
飲食業は『入る人がいなくて、辞める人が多い』と負のループになっているので、そんな人手不足の状況で働いている人の負担というのは、想像以上です。
また家族がいる方は、家族の負担というのも一度考えてみるいい機会です。
体力的にもストレス的にも耐えられないなら、ご自身の体のこと、家族のことを考えることを優先しましょう。
退職拒否をされた場合のケース別対処方法
法律的に人手不足で辞めるのは問題がないとお伝えしました。
しかし人手不足なので、実際に退職の意思を伝えても、何とかしてうまく退職を止めようとしてくることもあります。
ここでは、退職を先延ばしされそうになった時に、どのように対応したらいいかケースごとにお伝えしますので、確認してみてください。
ケース⓵:後任が見つかるまで退職を認めないと言われたら?
退職させてくださいと言っても、「後任が見つかって引継ぎが終わるまで退職は許さない」と言われるケースがあります。
後任が見つかるかどうかは会社の問題であり、あなたの責任ではありません。
その場合は、退職の意思表示を、形に残すようにしてください。
直属の上司や人事にメールを送る
退職届を内容証明郵便で会社に送る
もし会社から「退職することなんて聞いていない」と主張された場合でも、退職の意思表示として形に残っているので、そのようなトラブルを避けることができます。
ケース②:損害賠償を請求すると言われたら?
退職を理由に『損害賠償を請求する』と言われた場合、雇用契約書等で違約金の請求に関する規定がない場合は、会社があなたに損害賠償の請求することは認められません。
労働基準法第16条では以下のように定められています。
労働基準法16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
引用:e-GOV
労働基準法では、労働者の退職の自由が保証されています。
退職する権利が法律で認められているのに、退職するからとという理由で、違約金や損害賠償を請求することは法律違反となります。
損害賠償を求められることはないので、仮にそのようなことを言われても、あまり気にすることはありません。
ケース③:退職届を受け取ってもらえない場合は?
退職したいと伝えても「また後日ゆっくり話そう」などと言って、退職届の受け取りをしてくれない場合があります。
これは、辞めるのを引き延ばす、時間をかけてあなたに考え直させるなど目的があります。
法律では「退職の意思を伝えた後、2週間を経過すれば退職出来る」となっています。
例え会社に退職届を受け取ってもらえなくても、口頭で退職の意思を伝えていれば退職することは可能となっています。
しかし、「言った言わない」などとトラブルになる場合もありますので、内容証明郵便で退職届を会社に送る、メールで退職の意思を伝えておくようにしましょう。
ケース④:希望する退職日に退職させてくれない場合は?
人手不足の場合、希望する退職日を言っても、受け入れてくれず、希望する日よりもほど遠い日を指定してくるケースもあります。
その場合でも、会社の希望日に退職する必要も義務もありません。
法律でも「退職の意思を伝えれば2週間で辞められる」と書いています。
会社が指定した日まで続けることは難しいと伝え、早めに退職出来るよう交渉をしていきましょう。
ケース⑤:待遇を改善するからと引き留められた場合は?
あなたが退職の理由を聞かれた時に
- 給料が安い
- 勤務時間が時間が長い
など上司に不満を伝えた場合、「考えるので続けてほしい」と言われる場合があります。
もし「考える」と言われた場合は、具体的な改善策を出してくるのか、本当に改善するのか見極めることが大事です。
しかし考えると言っても、実際はその場しのぎで、いつまでたっても改善されないケースもあります。
ご自身が待遇が改善されさえすれば働いてもいいと思っている場合は、交渉することも可能です。
しかし、待遇以外にも不満があるのであれば、退職の理由は「他にやりたいことが見つかった」など無難な理由にして、退職手続きを進めた方がいいでしょう。
ケース⑥:給与を支払わないと脅された場合は?
「今、辞められると会社が迷惑するから、残りの給与は支払わない」と言って、辞めることを断念させるケースがあります。
あなたが働いた分の賃金を支払うのは会社の義務です。
その言葉は無視して、退職後にしっかりと未払い分の賃金を会社に請求しましょう。
- シフト表(勤怠のデータ)
- 業務日報のコピー
- 給与明細書
- 雇用契約書などの資料
などを手元に集め、退職後に請求する準備をしておきましょう。
退職拒否をされたからといってバックレだけはやめましょう
退職拒否や引きとめにあうと、ストレスも溜まり辛い気持ちになります。
しかし、バックレていなくなることだけは避けましょう。
というのも、退職時に損害賠償はないとお伝えしましたが、これは法に則って退職手続きをした時の場合。
バックレて辞めた場合は例外です。
あなたが急に退職して仕事を放棄したことによって店の営業や売上に大きな影響が出てしまった場合、損害賠償に発展してしまう可能性があります。
またバックレることで、会社はあなたの身に何かが起こったと思います。
- 見つかるまで自宅に上司が来る
- LINEや電話がひっきりなしに鳴る
- 警察に捜索願を出す
- あなたの家族に連絡
色んな手段を使って、見つかるまであなたを探します。
あなたを守るため、また周囲にも迷惑をかけないためにも、法律に則って退職手続きを進めるようにしましょう。
飲食業から他の業界への転職のコツ
異業種への転職に成功した人に共通して言えるのは、転職先と今までの職務内容に何かしら共通点を見つけています。
飲食業から異業種への転職成功のコツは、応募先企業とこれまでのキャリアの共通点を見つけ、採用担当者に理解してもらうことです。

例えば、店長などをした場合、お客さんのターゲット層を調査した上で、メニューを考えたりSNSを使って集客したりという経験をした場合は、マーケティングの仕事が共通します。
また、色んなお客さんと接っして培ったコミュニケーションスキルは、秘書、営業や医療、介護、サービス業などの仕事にも共通します。
そのために、自身のキャリアを整理するために、まずは今までの経験や、得られた知識を具体的に書き出してみましょう。
どの業界や職種が向いているのか分からない場合は
飲食業界で働いていると、どうしても拘束時間が長いので、他の業界のことをしっかり見るという時間もありません。
転職のやり方が分からない、他の業界への転職を成功させたいという場合は、転職エージェントを利用するのが一番の近道です。
というのも、転職エージェントは、未経験でも新しい職種にチャレンジできる環境が整っていて、なによりも専属のキャリアアドバイバーが転職の相談にのってサポートしてくれます。
- あなたの仕事を通して得た強みを一緒に見つけてくれる
- 不安なことがあれば相談に乗ってくれる
- あなたに合った仕事を紹介してくれる
- 履歴書の添削や面接対策を指導してくれる
- 面接日程を調整してくれる
- 給与交渉などをしてくれる
ちなみに、転職エージェントを使わず一人で転職活動をする場合は、仕事をやりながらこれらのことを1人で全部やらないといけません。
転職のコツが分からないまま進めてしまうと、時間も労力も全部のしかかってくるだけでなく、転職出来ない、転職に失敗する恐れがありますので、注意が必要です。
以下の転職エージェントは、他業種への転職に強いので、できたら2か所は登録しておきましょう。
転職エージェント | 特徴 |
国内最大級の転職エージェント。案件が豊富なので他業種への転職紹介数も豊富。 | |
マイナビ | 20~30代の転職求人数が多い、若手のサポートが手厚い |
doda | 未経験でも他業種にチャレンジしやすい、転職サポート体制共に業界トップクラス |
まずはリクルートエージェントに登録して、学歴や自分に自信がない人は、リクルートエージェントとマイナビ、転職をしっかりサポートしてほしいという方は、リクルートエージェントとdodaに登録しておけば安心です。
この記事のまとめ
この記事では、飲食業を辞めたいけど、人手不足でためらっている人に向けて、どうすればいいのかお伝えします。
結論から言うと、人手不足で辞めることは法律違反でもないので、飲食がいやで我慢できないなら、辞めた方がいいです。
ずるずる勤務していると、心身的にもボロボロになるだけでなく、いつまでも今の会社に居続けることになります。
飲食業から異業種への転職成功のコツは、応募先企業とこれまでのキャリアの共通点を見つけ、採用担当者に理解してもらうことです。
ご自身の経験や強みを知って、仕事もプライベートも充実した生き方を送れる仕事に転職したいという方は、まずはリクルートエージェントに相談しましょう。
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